Cracks of Foam

泡沫のヒビ

映画『エイリアン』について

『エイリアン』という映画がある。私はこれに滅法弱い。2でも3でも、まして4でもない。vsプレデターなんて以ての外である。薄暗く広い宇宙船、未知の生命体による殺戮、交錯する思惑…etc。これからSF映画を本格的に観ようと考えるなら問答無用でこれを投げつける所存である。作品としての完成度もさることながら、音数の少なさや、演出、カット割りはホラー映画のそれである。
私は『エイリアン』という作品を愛しているし、エイリアンという架空の生物がたまらなく好きである。性質が寄生主依存である点、環境適応能力がズバ抜けて高い点、血液が酸である点、その他諸々の設定のどれしもが愛おしい。エイリアンマザーと同レベルでエイリアンを愛している。特に1作目の個体(ビッグチャップ)は素晴らしい。その姿を見る度に「H・R・ギーガー、ありがとう。」という気持ちで満たされる。作中中々姿を見せない所や、頭部が透けているところなどにエロティシズムを感じる。本当に素晴らしい。さすがアレのメタファー。素晴らしい。母性本能をくすぐられすぎる。
私は映画関係のサークルに所属して1年目の夏、エイリアンシリーズだけを狂ったように見続け、模造紙8枚にも渡る研究発表を行い、周囲をドン引きさせたという経験がある。エイリアンとは誠に恐ろしい。
最後に、独断と偏見でエイリアンシリーズを精査するならば、『エイリアン』はホラー、『エイリアン2』はアクションホラー、『エイリアン3』はアクション、『エイリアン4』は無かったもの、として位置付ける。要は1作目の『エイリアン』を観よ、ということなのである。

モノと邦楽、時々映画

「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり。」という土佐日記の有名な一節から、日記とは元来男のモノである。なとどとぬかせばジェンダー論の教諭は即座に顔面トランザムであろう。別にそんなことはどうでも良い。
自分はほぼ日手帳に2日のディレイを効かせて日記を付けているが、「紙媒体なんて流行らないわよ。」という攻殻機動隊のセリフにインスパイアされこの手のモノにも手を出した次第である。無論、後半部は嘘だ。
好きなアーティストは誰か?と聞かれた時の正解はスピッツだと考える。当たり障りのなさが天下一品である。併せて相手がスピッツファンであった場合、好きなアルバムは『名前をつけてやる』だと答えておくと相手はご満悦である。パンチの光を浴びせてやりたい。
19の頃、好きな映画が『アメリ』の女は信用するな、と教わった。随分歪んだ考えだと当時の自分は憤りを感じたものだが、強ち間違いではないことに気付く今日この頃である。